ここで引いたら、晃さんが私に伝えてくれたことが無意味になってしまう。
ここでコイツに負けたら、晃さんの宝石への想いを私が否定することになってしまう。
そんなの絶対、御免だわ!
「お客様、店員のご無礼をお許し下さい。なにぶんまだ新人でございまして」
頑として謝罪しない私に代わり、栄子主任が深々と頭を下げた。
和クンはふて腐れた顔をして私を睨みつけている。
「主任さんよりも、この生意気な店員に謝って欲しいんだけど」
「もちろんです。ほら聡美ちゃん、早くお客様にお詫びをしなさい」
「ですが、私はやはり周りからの押し付けではなく、お嫁さんが本心から望むお品を贈って差し上げるべきだと思います」
「うわ、すっげムカつくこの女! やたら偉そう!」
あんたにゃ負けるわよ!
そう心の中で言い返しながら、断固として私は主張を続けた。
「エンゲージリングは女性にとって特別なんです。他には代えられないんです」
「だから大きいのを買ってやるって言ってんじゃん!」
「いえ、ですから……」
「これ! これに決めたから! 早く包めよ!」
和クンは一番高いダイヤモンドを手に取り、私に向かってこれ見よがしに突きつけた。
あんたそれ今、値段だけで選んだでしょ!?
鑑定内容なんかぜんぜん見ないで、私への当て付けで選んだでしょ!?
ダメだこいつは! 根本から話がわかっていない!
私はふぅっと息を吐いて気持ちを落ち着かせてから、極力冷静な態度(の、つもり)で言った。
「どうしてもお嫁さんに大きなダイヤモンドを身に付けて欲しいのでしたら、後日改めて、エンゲージリングとはまた別にプレゼントされてはいかがでしょうか?」
「はあ?」
「ご本人同士が納得し、望むお品をご提供させていただく。当店の宝石鑑定士から、そう厳しく指導されておりますので」
ここでコイツに負けたら、晃さんの宝石への想いを私が否定することになってしまう。
そんなの絶対、御免だわ!
「お客様、店員のご無礼をお許し下さい。なにぶんまだ新人でございまして」
頑として謝罪しない私に代わり、栄子主任が深々と頭を下げた。
和クンはふて腐れた顔をして私を睨みつけている。
「主任さんよりも、この生意気な店員に謝って欲しいんだけど」
「もちろんです。ほら聡美ちゃん、早くお客様にお詫びをしなさい」
「ですが、私はやはり周りからの押し付けではなく、お嫁さんが本心から望むお品を贈って差し上げるべきだと思います」
「うわ、すっげムカつくこの女! やたら偉そう!」
あんたにゃ負けるわよ!
そう心の中で言い返しながら、断固として私は主張を続けた。
「エンゲージリングは女性にとって特別なんです。他には代えられないんです」
「だから大きいのを買ってやるって言ってんじゃん!」
「いえ、ですから……」
「これ! これに決めたから! 早く包めよ!」
和クンは一番高いダイヤモンドを手に取り、私に向かってこれ見よがしに突きつけた。
あんたそれ今、値段だけで選んだでしょ!?
鑑定内容なんかぜんぜん見ないで、私への当て付けで選んだでしょ!?
ダメだこいつは! 根本から話がわかっていない!
私はふぅっと息を吐いて気持ちを落ち着かせてから、極力冷静な態度(の、つもり)で言った。
「どうしてもお嫁さんに大きなダイヤモンドを身に付けて欲しいのでしたら、後日改めて、エンゲージリングとはまた別にプレゼントされてはいかがでしょうか?」
「はあ?」
「ご本人同士が納得し、望むお品をご提供させていただく。当店の宝石鑑定士から、そう厳しく指導されておりますので」



