天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

 それに、この顔の傷のこともある。
 彼は手紙でああいってくれたけど、女にとって顔の傷は深刻な問題だ。

 晃さんの気持ちはとてもよく伝わったから、私も自分の気持ちを、迷っているこの本音を、彼に包み隠さず伝えたい。
 それが彼の誠意に対しての、私の誠意になると思う。
 心から素直になって彼の気持ちを行け入れるには、かなりの長期戦になりそうな予感がする。
 しかも解決できる保証はどこにもないけど、それでもいいと晃さんが言ってくれるなら……。
 気長に付き合うと言ってくれるなら、とにかく一度、彼に連絡を取って話し合いたい。
 すべてはそれからだ。

 手紙を自分のロッカーにしまって、私は控え室を出た。
 いずれすぐに晃さんに会えると思うと心が弾む。
 甘くて幸せな感情が膨れ上がって、心と身体を押し上げて羽のように軽くしてくれるんだ。
 彼のことをまたこんな風に思えるなんて夢みたい。
 胸の奥をノックするような素敵な痛みを感じながら、私は自分の心境の変化を受け入れていた。