それから数日後、あたしは顔にパッドを貼って出勤した。

 いつまでも休み続けてもいられないし、辞めるなら辞めるで、早めに対処した方がいい。

 そうなれば晃さんとの事も、今度こそキッパリ踏ん切りをつけられそうだ。


 メイクは一応、身だしなみ程度は薄っすらプレストパウダーを叩いたけど、それだけ。

 顔に怪我をして治療中なのに、がっつりフルメイクしてるのもなんだかなー、な気がして。

 これまでの自分を思えば、すごい変化だと思う。


 内心ちょっと気が引けながら出勤したあたしを、お店のみんなはとても温かく迎えてくれた。


「聡美ちゃーん! 元気になって良かったーー!!」


 詩織ちゃんが抱き付いてきて大喜びしてくれた。

 栄子主任も嬉しそうにニコニコしてくれている。


「聡美ちゃん、良かったわね。でも無理しちゃダメよ?」

「はい。ありがとうございます」

「詩織ちゃん、聡美ちゃんのサポートよろしくね」

「はあい! もう、任せてくださいー!」


 ドンと胸を叩いて引き受けてくれた詩織ちゃんは、必要以上なほど気を使ってくれた。


「ほらほら聡美ちゃん、仕事なんかしちゃダメ! 無理しないようにって言われてるでしょ!?」

「いやでも、あたし仕事しに店に来たんだけど」

「いーから聡美ちゃんは控え室で休んでて! 用事ができたら呼びに行くから!」


 そう言ってあたしの背中をグイグイ押して従業員控え室に押し込む。

 あたしは苦笑しながら、おとなしく従うことにした。


「あ、そうだ忘れてた。預かり物してたんだっけ」

 詩織ちゃんがそう言って、自分のロッカーの中から一通の封筒を取り出し、あたしに差し出した。


「聡美ちゃん、はいこれ。晃さんから」

「……!」


 晃さんから!? 晃さんがあたしに手紙を!?