心も体も弛緩した状態のまま、顔にパッドのような物を貼られている気がするけどよくわからない。
呆けている間に治療が済んで、看護師さんに待合室に連れて行かれた。
私の姿を見たお姉ちゃんと晃さんが、ソファーから飛びあがるようにして立ち上がる。
いつの間に呼び出されたのか、お父さんとお母さんもいた。
みんな恐ろしく強張った表情で、まるで怖いものでも見るような目であたしを見ていた。
「槙原聡美さんのご両親ですか?」
「は、はい」
「ちょっとこちらへ。ご説明がありますので」
お父さんとお母さんが看護師さんへ連れて行かれて、私とお姉ちゃんと晃さんの三人だけになった。
お姉ちゃんは顔面蒼白で、今にも失神しそうで、晃さんはひどく深刻な顔をして私の頬に視線を注いでいる。
私は並んでいる二人の姿を交互に見比べ、そして話しかけた。
「……お姉ちゃん」
お姉ちゃんの体が目に見えてビクリとする。
なんだか怯えているようなその態度が、ちょっと可笑しかった。
「お姉ちゃん、怪我、しなかった?」
「え、ええ……」
「ダメだよ? 夜間の外出には注意しなきゃ」
お姉ちゃんの美しい目に涙が盛り上がる。
真珠のように滑らかな頬を、花びらのような涙がホロホロと伝い落ちた。
やだ、泣かないでよ。お姉ちゃん。
呆けている間に治療が済んで、看護師さんに待合室に連れて行かれた。
私の姿を見たお姉ちゃんと晃さんが、ソファーから飛びあがるようにして立ち上がる。
いつの間に呼び出されたのか、お父さんとお母さんもいた。
みんな恐ろしく強張った表情で、まるで怖いものでも見るような目であたしを見ていた。
「槙原聡美さんのご両親ですか?」
「は、はい」
「ちょっとこちらへ。ご説明がありますので」
お父さんとお母さんが看護師さんへ連れて行かれて、私とお姉ちゃんと晃さんの三人だけになった。
お姉ちゃんは顔面蒼白で、今にも失神しそうで、晃さんはひどく深刻な顔をして私の頬に視線を注いでいる。
私は並んでいる二人の姿を交互に見比べ、そして話しかけた。
「……お姉ちゃん」
お姉ちゃんの体が目に見えてビクリとする。
なんだか怯えているようなその態度が、ちょっと可笑しかった。
「お姉ちゃん、怪我、しなかった?」
「え、ええ……」
「ダメだよ? 夜間の外出には注意しなきゃ」
お姉ちゃんの美しい目に涙が盛り上がる。
真珠のように滑らかな頬を、花びらのような涙がホロホロと伝い落ちた。
やだ、泣かないでよ。お姉ちゃん。



