周りの人たちが「警察」とか「救急車」とか騒いでるみたいだけど、私は顔を隠すので無我夢中だった。
ずっとお姉ちゃんと晃さんに抱きしめられていた気がする。
そして気がつけば、救急の夜間外来らしき場所に運び込まれていた。
「聡美! 聡美!」
「聡美さん! もうだいじょうぶだから安心して!」
扉の向こうから、お姉ちゃんの取り乱した声と晃さんの緊迫した声が聞こえてくる。
それを聞きながら私は、周囲が力ずくで私の手を頬から外そうとするのに抵抗していた。
「槙原さん。治療できないので手を離してください」
「落ち着いてください。ここがどこかわかりますか?」
まるで小さな子供が診察を怖がるように、いつまでも泣き喚いて抵抗する私に先生が業を煮やして言った。
「治療できないと傷が治りませんよ?」
傷……。
その言葉を聞いた途端、嘘のように体から力が抜けてしまった。
ホッとしたように先生が診察を始め、看護師さんたちが手当の用意を始める。
化粧を拭き落とされ、傷口を丁寧に丁寧に洗われた。
いつもの私なら素顔をさらされていることに耐えられず、狂ったように絶叫していただろう。
でも今の私は、まるで魂が抜け出てしまったようになにも感じなかった。
『傷。傷。傷』
まるで強烈な呪文のように、その言葉が私のすべてを支配していた。
ずっとお姉ちゃんと晃さんに抱きしめられていた気がする。
そして気がつけば、救急の夜間外来らしき場所に運び込まれていた。
「聡美! 聡美!」
「聡美さん! もうだいじょうぶだから安心して!」
扉の向こうから、お姉ちゃんの取り乱した声と晃さんの緊迫した声が聞こえてくる。
それを聞きながら私は、周囲が力ずくで私の手を頬から外そうとするのに抵抗していた。
「槙原さん。治療できないので手を離してください」
「落ち着いてください。ここがどこかわかりますか?」
まるで小さな子供が診察を怖がるように、いつまでも泣き喚いて抵抗する私に先生が業を煮やして言った。
「治療できないと傷が治りませんよ?」
傷……。
その言葉を聞いた途端、嘘のように体から力が抜けてしまった。
ホッとしたように先生が診察を始め、看護師さんたちが手当の用意を始める。
化粧を拭き落とされ、傷口を丁寧に丁寧に洗われた。
いつもの私なら素顔をさらされていることに耐えられず、狂ったように絶叫していただろう。
でも今の私は、まるで魂が抜け出てしまったようになにも感じなかった。
『傷。傷。傷』
まるで強烈な呪文のように、その言葉が私のすべてを支配していた。



