……うん、間違いないよ。晃さんのこと、好きだよ。

　ああ、もう限界かも。目じりに溜まった涙の粒が零れ落ちそう。
　嫌だ。メイクが崩れるから泣きたくないよ。
　そんな顔で晃さんとお別れしたくないの。

「キミの中のなにかがいつも邪魔をしている。どうしてもそれが俺には見定められないんだ。だから教えてくれ」

　あたしは力無く首を横に振った。
　言えないの。それが言えるくらいなら、私はあなたと離れたりしない。

「何を恐れている？　キミは怯えながら、必死になにかを自分の中に隠している」

　私の中を探るその目にすべてを見透かされそうで、怖い。
　お願い、どうか暴かないで。私が惨めなイミテーションであるという事実に気がつかないままでいて。

「今まで自分が望むものを、ずっと諦め続けてきたんじゃないのか？　でも本当のキミは望んでいるんだ。必死に足掻いて手に入れようと……」
「やめて！」

　私は涙声で叫んだ。
　やめて、やめて!　もうやめて!

「私の心を鑑定しないで！」

　そうよ、本当は望んでいる！
　納得したふりをしてカッコつけてるだけで、本心では望んでるの！
　だから余計に自分が惨めでしかたがないのよ！

　イミテーションは本物になれない。
　絶対に不可能なのに、いつまでも未練たらしく仮面を磨き続けてる。
　さも「私は本物です」って顔して、薄っぺらな仮面をつけているの。
　そんな惨めで情けない本心を、あなたに向かって暴露しろっていうの？