私は両目を極限まで見開き、彼を凝視した。
 好きな、女って、いま言っ……?

「ああ、俺はキミが好きなんだよ。好きだから誘ったし、好きだから電話したし、好きだからキスしたかった。俺は、キミのことが好きだ」

 彼の言葉を聞いている途中から、目と鼻がジワジワと熱くなり、熱くて大きな塊が体の奥底から込み上げてくる。
 喉から今にも変な声が飛び出てきそうで、歯を食いしばった。
 好きって言葉は、こんなに嬉しくて素晴らしい言葉だったんだね。
 こんなにこんなに嬉しくて……こんなにこんなに、つらくて悲しい。

 私は湿った鼻をグスグ啜って、涙が零れないように上を向きながら目を閉じた。
 あのね、晃さん。あなたのその想いは本物じゃないの。イミテーションなのよ。
 だから、手を伸ばしてはいけない。あなたが後悔してしまうから。

「いや、俺は本当にキミが好きだよ」

 上を向いていた私の両目が見開かれた。

「前にも言ったろ? キミの考えていること、なんとなく伝わってくるんだ。キミも俺の事が好きなんだろう? それは絶対に間違いない」