晃さんの言う通り、酔ってしまいたい。思いきり酔ってこの気恥ずかしさを忘れたい。
「アメジストっていうのはね、石英なんだよね」
グラスを傾けながら晃さんがそう切り出した。
いつもの宝石談義に話が動いてくれたことに、内心ホッとする。
「石英って水晶ですよね?」
「そう。石英の中で無色透明なものを水晶と呼ぶんだ。だからアメジストは紫水晶」
「綺麗な色ですよね。この色好きなんです」
「でもじつはアメジストって、熱や光で退色しちゃうんだよ」
退職!?
あ、いや退色か。つまり色が抜けちゃうってこと?
じゃあ直射日光のガンガンあたる場所にほったらかしにしてるとマズイよね!?
気をつけなきゃ。
晃さんがウェイターに手を上げて、自分のグラスの替えと、ワインを注文した。
運ばれてきたワインは、琥珀色とオレンジ色が混じったような美しい色合いをしている。
「シトリンって宝石、知ってる?」
「はい。薄黄色の透き通った宝石です」
「あれはね、黄水晶。水晶の中に鉄イオンが混じったものだ。あの天然石はなかなか手に入らないんだ」
晃さんは新しいグラスを傾け、私もそれにつられて自分のグラスを傾けた。
「黄水晶のシトリンの中でも、特別に希少な『マディラ』ってのがある。ポルトガルのマディラワインの色に因んで名づけられたんだ。このワインが、そのマディラワインだよ」
この美しい、なんともいえない色が宝石の名前の由来だなんて、とてもロマンチックだ。
「さあ、飲んでみて。マディラシトリンを飲み干すように」
晃さんの言葉が魔法の呪文のように聞こえる。
私はワイングラスに唇を寄せ、その甘さをゆったりと味わった。
「アメジストっていうのはね、石英なんだよね」
グラスを傾けながら晃さんがそう切り出した。
いつもの宝石談義に話が動いてくれたことに、内心ホッとする。
「石英って水晶ですよね?」
「そう。石英の中で無色透明なものを水晶と呼ぶんだ。だからアメジストは紫水晶」
「綺麗な色ですよね。この色好きなんです」
「でもじつはアメジストって、熱や光で退色しちゃうんだよ」
退職!?
あ、いや退色か。つまり色が抜けちゃうってこと?
じゃあ直射日光のガンガンあたる場所にほったらかしにしてるとマズイよね!?
気をつけなきゃ。
晃さんがウェイターに手を上げて、自分のグラスの替えと、ワインを注文した。
運ばれてきたワインは、琥珀色とオレンジ色が混じったような美しい色合いをしている。
「シトリンって宝石、知ってる?」
「はい。薄黄色の透き通った宝石です」
「あれはね、黄水晶。水晶の中に鉄イオンが混じったものだ。あの天然石はなかなか手に入らないんだ」
晃さんは新しいグラスを傾け、私もそれにつられて自分のグラスを傾けた。
「黄水晶のシトリンの中でも、特別に希少な『マディラ』ってのがある。ポルトガルのマディラワインの色に因んで名づけられたんだ。このワインが、そのマディラワインだよ」
この美しい、なんともいえない色が宝石の名前の由来だなんて、とてもロマンチックだ。
「さあ、飲んでみて。マディラシトリンを飲み干すように」
晃さんの言葉が魔法の呪文のように聞こえる。
私はワイングラスに唇を寄せ、その甘さをゆったりと味わった。



