「おいしい。それに素敵なお店ですね」
ひと口飲んで、素直な感想を口にした。
友達と連れ立ってよく行く、賑やかだけど騒々しいお店とは違って、大人の社交場な雰囲気が漂っている。
もちろんお客たちはそれぞれの会話を楽しんでいるけど、タガを外している人はひとりもいない。
「ここのオーナーと知り合いなんだ。以前ちょっと仕事でね」
「そうなんですか」
「ところで聡美さん。今日はあのアメジストを持ってきてる?」
「はい。ちゃんと持ってきました」
バッグを開けてアメジストのルースを取り出し、手の平に乗せて晃さんに見せた。
すると晃さんが手を伸ばしてきて、ヒョイッとアメジストを取り上げる。
「ちょっと没収」
「え?」
私は首を傾げた。
これ、私の酔い防止のお守りにくれたんじゃなかったの?
「これ持ってるせいで、本当に聡美さんが酔わなかったら嫌だから」
「どういう意味ですか?」
「俺、キミを酔わせたいの」
「……!」
ニコリと微笑みながらグラスを傾ける晃さんを見ながら、私の全身は固まってしまう。
わ、私を酔わせたいって、どうして?
「さあ、どうしてでしょう? 酔ってみたらその答えが分かるかもしれないよ?」
また私の心の中を読んだ彼が、イタズラな顔と声でそんなことを言うから、私の胸が……バイオレットフィズのソーダのように泡立った。
緊張のあまり目の前の自分のグラスに手を伸ばすこともできない。
彼の唇に当てられるグラスと、氷の音と、揺れる琥珀の色を見つめながら、私は戸惑いと高揚の混じった不思議な気持ちを味わっていた。
ひと口飲んで、素直な感想を口にした。
友達と連れ立ってよく行く、賑やかだけど騒々しいお店とは違って、大人の社交場な雰囲気が漂っている。
もちろんお客たちはそれぞれの会話を楽しんでいるけど、タガを外している人はひとりもいない。
「ここのオーナーと知り合いなんだ。以前ちょっと仕事でね」
「そうなんですか」
「ところで聡美さん。今日はあのアメジストを持ってきてる?」
「はい。ちゃんと持ってきました」
バッグを開けてアメジストのルースを取り出し、手の平に乗せて晃さんに見せた。
すると晃さんが手を伸ばしてきて、ヒョイッとアメジストを取り上げる。
「ちょっと没収」
「え?」
私は首を傾げた。
これ、私の酔い防止のお守りにくれたんじゃなかったの?
「これ持ってるせいで、本当に聡美さんが酔わなかったら嫌だから」
「どういう意味ですか?」
「俺、キミを酔わせたいの」
「……!」
ニコリと微笑みながらグラスを傾ける晃さんを見ながら、私の全身は固まってしまう。
わ、私を酔わせたいって、どうして?
「さあ、どうしてでしょう? 酔ってみたらその答えが分かるかもしれないよ?」
また私の心の中を読んだ彼が、イタズラな顔と声でそんなことを言うから、私の胸が……バイオレットフィズのソーダのように泡立った。
緊張のあまり目の前の自分のグラスに手を伸ばすこともできない。
彼の唇に当てられるグラスと、氷の音と、揺れる琥珀の色を見つめながら、私は戸惑いと高揚の混じった不思議な気持ちを味わっていた。



