天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

 へー、知らなかった。てっきり国家資格なのかと。
 でも民間資格とはいえ、専門の知識をお金も時間もかけてしっかり学ぶんだから大変ね。

「タイのバンコクに『AIGS』っていう教育組織があってさ。専門性の高い複数コースが設定されてるんだ。行ってみたいなあ」

 晃さんの目、夢見る少年みたいに輝いている。
 本当に宝石が好きで、自分の仕事に誇りをもっているのね。そういう男性って素敵だな。
 そんな風に考えながら見つめていると、不意に晃さんが照れたような顔をした。
 あ、もしかしたら、私が晃さんのことを素敵だって思ってたのを見抜かれちゃったんだろうか。
 うわ、それはかなり恥ずかしい! 彼は本当にいつも鋭くて困ってしまう。
 そんな嬉しくも照れくさく、そして楽しい時間はどんどん進み、夜は深まっていく。

「そろそろ次の店に行こうか」

 晃さんに誘われて、私は胸をときめかせながら頷いた。
 そうだ。今夜はまだ、これから彼と過ごせるひと時があるんだ。