天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

「……でね、実は『保証書』と『鑑別書』と『鑑定書』って違うんだよ」

 食事しながらの会話はいつも通り、宝石関連のこと。
 私の疑問に対して晃さんはスラスラと答えてくれる。

「じゃあ、保証書って何なんですか?」
「その宝石を販売した店が、独自で発行する物だよ。宝石の種類とかを保証する物さ」

 それって鑑別書や鑑定書と何が違うんだろう?
 三つとも結局おなじ物なんじゃないのかな?

「鑑別書っていうのは、その販売店以外の、独立した団体が発行する物だよ」

 宝石の鑑別や鑑定を専門にしている会社があって、その会社が販売店や個人から料金を受け取って鑑別する。
 内容的には保証書と似たような意味だけれど、販売店以外の第三者が発行するわけだから信用度は増す。

「鑑定書っていうのは、正式には『ダイヤモンド・グレーディングレポート』と呼ばれるんだ」

 その名の通り、天然ダイヤモンドだけを評価するのが鑑定書。
 ダイヤ以外の宝石に対して『鑑定書』なんて言葉は使用しない。

「日本で宝石を鑑別、鑑定する団体の有名どころだと、中央宝石研究所とかだね」
「他にもあるんですか?」
「あるよ。宝石鑑別団体協議会(AGL)に所属している団体が、信用度が高いって一般的には言われてる」
「高いって……じゃあ、ぶっちゃけ低い所もあると?」
「うーん、これってあくまでも民間団体だからね。あ、因みに宝石鑑定士も国家資格じゃないんだ。民間資格」
「え!? そうだったんですか!?」
「専門の学校に入学したり、通信教育を受けたりして、試験に合格すれば個々の団体から資格がもらえるんだ」