君が私を思い出せなくても。









「もうこの子、咲かないね」


「大丈夫、来年は2人で咲かせたらいいんだよ!

それよりこの花、俺好きなんだー!
花占いが出来るんだよ!!」





悲しい表情をする私を見てかはわからないけど、明るく振る舞う柊ちゃん。


枯れかけたマーガレットを手にとり、
1枚1枚、花びらを丁寧にとっていく。






〝スキ、キライ、スキ、キライ〟




呪文のように、
この言葉を交互に発する。









そして最後の1枚。





「スキ」







その言葉を言うと同時に、
私の方を見ていた。




「俺、杏ちゃんのことスキだよ」





私と柊ちゃんは同じ気持ちだった。


てっきり柊ちゃんにとって私は、
ただの幼なじみなのかなって、
思っていたから。



だからこそ、この言葉はすごく嬉しかった。





「私も、柊ちゃんがスキ」