君が私を思い出せなくても。










最初は、
『俺はサッカーがしたいの!』とか
『こんなところ、いつも見てるだろ』と

ぶつぶつ横で文句を言われたが、
自然と黙って、ぎゅっと手を握り返してくれた。


すごく嬉しかった。





すると、目の前に白いキレイなちょうちょが飛んできた。




「あ、ちょうちょだ!!」



私はつい、ちょうちょに目がいき、
柊ちゃんの手を離して追いかけた。



「あっ!こら!そっちは危ないよ!」





柊ちゃんがそう言って、
すぐに駆けつけてくれたため、
溝に落ちることはなかった。



「ありがとっ!」



ニッコリ笑うと、
柊ちゃんもニッコリ笑ってくれた。




「あ、こんなところにお花があるよ!」



私の後ろを指差し、花を見つけた。

それは、マーガレットという花だった。




ただ、もう咲く時期が過ぎているためか
すでに枯れかけていた。