君が私を思い出せなくても。









文化祭前日。

みんな最後の準備に追われ、慌ただしい雰囲気。



ドアの装飾をする人や
荷物運びの人で廊下には人が大勢いる。





「ちょ、ちょっと通れないんですけど…」


「あ、わりぃ!って杏菜じゃん!」


「へ?」





声がした方を見ると見覚えのある顔。




「あ、かっちゃんか!ビックリしたーっ」



こちら、中学3年の時に
同じクラスで高校も同じになった
柿本 夏弥(カキモト ナツヤ)。通称かっちゃん、または、ナツ。

中学時代、サッカー部のエースだったので、サッカーの強い高校に行くためにわざわざこの学校に来たらしい。
頭も良くて、すごく優しい人。







「相変わらず、頑張ってんな!
荷物持ってあげようか?」


「え、いいよー?すぐそこだし!」


「いや、教室変わってるから遠いだろ?どこ?」


「まぁ、2年6組だけど…」





そういうと、すぐに私の持っていた荷物を持ってくれた。






「教室の手伝いしなくていいの?」


「もうほとんど終わってるから!

ってゆーかさ、明日の文化祭、一緒に回ろうよ!友達と担当の時間ずれてて、回る人いないんだよー」





……え?



これって、どういう意味なんだろ。

ただ、回る人がいないからだよね。





でも、私は、
終ちゃんと回りたい。