君が私を思い出せなくても。












「ドキドキについてなんだけど、
吊り橋効果って聞いたことあるかな?」


「吊り橋効果?」


「吊り橋って聞くと、ちょっと怖いイメージあるじゃん。揺れたりとかさ。
そんなところにいたら心臓もドキドキでしょ?そのドキドキを利用して、恋に落ちたと思わせるんだ!」






いや、現実でどうやって
そんなことをするんですか…







そう思ったので、
実際にどう活用するかを聞いてみると
遊園地にあるジェットコースターや
お化け屋敷が例らしい。


なぜかというと、
落ちる瞬間のドキドキや、
何がどこから出るかわからない恐怖のドキドキを、一緒に味わった場合
そのドキドキを恋のドキドキと勘違いしてしまうらしい。

論文でも証明されているため、
なかなか信憑性は感じられる。






「でも、先輩。
私と柊ちゃんが2人っきりで遊園地なんて行けるはずがないじゃないですかー…」



そう言うと、ニヤニヤしだした先輩。




き、気味が悪いんですけど…





「君は、来週の金曜日と土曜日に何があるかを忘れているね。

さて、何の日?」


「え?来週の金曜日と土曜日…」







んー、なんだっけ…







「ちょっと男子!
その荷物持ってよー!」


「あー、わりぃわりぃ!!」






廊下から聞こえる生徒の声。

……あ、なるほど。そうだった。





なんで忘れていたんだろう。