「水野くーん、どこー?」
もうすぐで柊ちゃんの唇に触れる
という時に、どこかから
女の子の声が聞こえた。
「あ、やべぇ。約束あったんだった。
ごめんだけど、続きはまた今度ねっ」
「え?ちょっと待っ、て…」
私は、小さくそう呼び止めたが、
約束した女の子の元へと
柊ちゃんのは行ってしまった。
本棚の影から柊ちゃんの行った方向を見たが、それらしき人はもういなかった。
誰だったんだろう。
柊ちゃんに近い存在なのかな。
私なんかより、
ずっと可愛い子なのかな。
そんなことばかりを考えて
悲しくなった。
結局は、私のことなんてどうでもいいんだ。
昔の柊ちゃんとは
違うもんね。
10年も経てば、前の学校で
誰かに恋したこともあるだろうなぁ…
…やっぱり私には、無理なのかな。
はぁー、とため息をつき、
図書館を後にした。

