「もぉ、なんで私のこと覚えてもないくせに、優しくしたり意地悪するのよ。
家にいたときも、嫌々だったじゃん」
そう私が言うと、
少し何か考えてからこう言った。
「覚えてないからって、あんこに興味ないわけじゃないよ?」
「今、完全に考えたよね。
適当に言われても嬉しくない」
本当に私に興味持ってくれてたら、
もっと大切にしてくれるはず。
「好きな子には意地悪したくなるって言うじゃん?そういうこと」
ますます信じられないし。
「遊んでるだけでしょ。
そうやって他の女の子も落としてきたんだ、最低」
「あんこちゃん、口が悪いねー」
「だから、ちゃんと杏菜って呼んでよっ!」
声を張り上げたせいで
周りにこちらを睨まれ、
柊ちゃんも怖い顔をしている。
まずい…
怒らせちゃったかな。
「そんなに杏菜って呼んでほしい?」
そりゃ、そうでしょ。
好きな人には
ちゃんと名前で呼ばれたい。
「うんっ」
素直にそう言うと、
耳元で囁いてきた。
「俺に、キスしてくださいって
頼んだら呼んであげる」

