「もぉ、夫婦喧嘩はやめなさい!
杏菜の部屋いってイチャイチャして!!!」
「「イチャイチャしてません!
てか夫婦喧嘩じゃありません!!」」
私のお母さんの言葉に対して返した
バッチリ重なった私たちのセリフを聞いて
お母さんも柊ママも大笑い。
恥ずかしいから、
結局柊ちゃんを連れて部屋に来たけど…
「全く、なんでお前の部屋に居なきゃいけねーんだよ」
この有様。
「仕方ないでしょ、ちょっとぐらい我慢して…」
そう話してから、
どちらも一言も喋らなくなったので
なんで家に居たのかを聞いてみると、
さっきまでの話をしてくれた。
「そうだったんだー。
それでお母さんたちは何を話してたの?」
「俺の記憶を取り戻すために
またここに戻ってきたとかそういうこと。
お前の母さんは、お前にダメージを与えないためにも引き離したとかなんとか言ってたけど、よくわかんねーや」
ダメージねー。
会えなくなったってことも
かなりのダメージだったけど、
でも今こうやって少しでも話せる時間があって、一緒に居れるのが嬉しい。
「私は、また会えて嬉しいよ」
「いや、俺はお前に会ったの初めてだから」
こう返されると、
やっぱり覚えていないんだなー
と実感する。
だからこそ、切なくなる。

