*杏菜side*
「お母さんただいまー」
「あー!杏菜ちゃんじゃない!!
久しぶりー♪」
河川敷から帰ってきた途端に
急に私に抱きついてきた女の人。
だ、誰だっけ…
「覚えてない?百合子よ百合子!」
「あ!柊ママかぁ!!
突然どうしたんですかー!!」
「ふふ♪ また戻ってきたから挨拶よ、挨拶♪」
かなり上機嫌の様子の柊ママ。
ってことは、もしかして…
柊ママの奥を見てみると、
柊ちゃんがこちらを見て唖然としている。
やっぱりいた。
「なんか聞いたことある苗字の家だと思ったら、お前だったのか、あんこ」
……あんこ?
「だ、誰があんこよ!私は杏菜よ!
あ・ん・な!」
「あー、杏菜か。甘ったるい名前だったと思ってたわ」
いやいや、なんでそこで天然だしてるんですか。
「てゆーか!なんで柊ちゃんがいるのさ!!」
「おい、あんこ!気安く柊ちゃんって呼ぶな!てか、それは俺が聞きたいんだよ!」
「だから杏菜だって言ってるでしょ!耳も悪いんですか?」
「あーあ、もうどっちでもいいから!てか、お前みたいなやつとこの奥様が家族だなんて考えらんねぇよ」
こいつ、なんでこんなに口が悪いかな、ほんとに。