君が私を思い出せなくても。










でもやっぱり気になったので
じっと表札を眺めていると
母さんがいつの間にかインターフォンを押していた。



『はーい』と高い声を出し、
玄関のドアを開けて出てきたのは
ショートカットの美人な女の人。

つまり、俺の母親みたいに
若作りしていなくてもキレイな人。



そんなことを言ったら元も子もないので、表情にも出さなかった
俺を褒めてほしい

と自画自賛していると、
その女の人が話しかけてきた。








「柊一郎くんじゃなーい!
久しぶりねー!大人になったねー!」





いや、あの、なんで、俺の名前を知っているんですか…?



と聞けるはずもなく、
母さんたちの会話になった。






「百合子さんも元気そうで良かったわー!!」


「加奈子さんも元気ねー!!
ほんと、この日を待ち望んでいたのよぉ!!」


「まぁ立ち話もなんだから、
あがってちょーだい!」


「はーい、お邪魔しまーす♪」









い、一体この加奈子さんという人は誰なんだ…。


てゆーか、俺の母親とどういう関係なんだぁああ!!!!