「ほんと、何で覚えてないのかわかんないのはこっちのセリフだからね」
私が強めの口調でそう言うと、
柊ちゃんはすっと立ち上がった。
「あのさ、覚えてないものは覚えてない。そんなに責められても、こっちも困るんだよね」
そう吐き捨て、かばんを肩にかけ、
『じゃあね』と帰っていった。
私、何してるのよ。
自分から柊ちゃんを
傷つけることばかりしてるから
離れていっちゃうし、
思い出そうともしてくれないんじゃん。
本当に、バカだな、私。
はぁっと、小さくため息をつき、
小石を川に投げ込む。
_____ポチャンッ
柊ちゃんの心にも
私の想いが、
少しでも届いたらいいのに。

