「幼稚園のお友達のことも
名前は思い出せないって言ってるの。
でも杏ちゃんのことだけは
何も覚えていないみたい…」
「そんな…」
私はそこで大泣きした。
柊ちゃんの前で泣いたって
どうにもならないのに。
きっと、何で泣いてるのかさえわかっていないと思う。
そう考えると、
余計に涙は止まらなかった。
結局、その日は家に帰ることになり
帰ってからもずっと泣いていた。
しかし、その日を境に
柊ちゃんに会うことはなくなった。
お母さんに理由を聞くと、
柊ちゃんのお父さんの急用で、
別の場所に転勤になったそう。
私は、もう2度と
大切な人と会うことは出来ない。
あの約束も
果たせなくなってしまったのだ____

