「柊ちゃん!!!」
病院に着くとすぐに柊ちゃんの病室に向かった。
柊ちゃんの体があらゆるとこを
包帯で巻かれていたことは覚えている。
車もブレーキを掛けていたため
全身打撲、右腕骨折で
脳に異常もなかった。
本当に奇跡だと思った。
でも、
名前を呼んだにもかかわらず
返ってきた言葉は求めていたものではなかった。
「君は、誰?」
え?覚えてないの?
「杏菜だよ、大崎杏菜。いつも杏ちゃんって私のこと呼んでたじゃん!」
「ごめん、わからないや」
どういうことなの?
何が起こっているのか
私には理解できなかった。
病院の先生に聞くと、
部分的な記憶喪失だと言う。
事故のショックで、
以前の記憶を無くしてしまったものを
思い出せるかもわからないという。

