「本田さん、今日は私早く帰れるので、夕飯の支度しときますから。まっすぐ帰ってきてくださいね。」

「え、そんな・・・悪いです。」

「遠慮なさらないで下さい。当然のことです。週末ですし、ゆっくりご飯を食べましょう。お帰りは何時ごろになりますか?」

「そうですか・・・すみません。それでは宜しくお願いします。私はたぶん7時半ごろには帰れると思います。」

学年の会議があるので、いつもより1時間ほど遅くなる予定だった。

「それじゃあ、7時半ごろに!」

津川さんは自転車で坂を下りながら手を振った。

津川さんの後姿を見送りながら、本田は改めて今ある幸せを噛みしめていた。