ピンポーン。

本田は津川の部屋を訪れた。

2時ちょうどだ。

あんなに思い悩んだ服も結局いつものジーンズにTシャツ(さすがにジャージはやめといた)にサンダル履きでやってきた。



「おー、本田さん来てくださったんですね。さあどうぞどうぞ上がってください。」

津川さんは笑顔で招きいれた。

津川さんはさりげなく本田の背中に手を添えてエスコートしてくれる。

また、これが自然なんだな。

いやらしくないのよ。

やば・・・また好きになっちゃいそうだわ。



「あれ、まだ誰も来ていないんですか?」

リビングに通されたが、人っ子一人いない。

「ええ。もう定刻なんですがね、僕の友人たちは定刻プラスアルファの時間で来るので、まだかかるでしょう。でもご近所さんはそろそろお見えになるかと思いますよ。」

津川さんの部屋はフローリングに大きなソファーが一つ、オーディオ関係、大きな書棚とテーブルが置かれてあった。

すべてが整然と並べられ、それぞれあるべきところにあるという感じで、なんでもごちゃごちゃに置かれている本田の部屋とは大違いだった。

「なんかおしゃれですね~。」

「そんなことありませんよ。それに本田さんの部屋と同じ間取りじゃないですか?」

同じ間取り?

そう言われればそうだった。

言われなければ気づかないくらい、本田の部屋とは月とスッポンだった。