アレスは、鞄を持って入口へと向かう。

それを見た私の体は、勝手に動いていた。

「え?」

「あっ…」

私は、アレスの手を掴んでいて、軽く後ろへと引っ張る。

「ソフィア?」

「き、今日は泊まっていけ!」

変なことを唐突に口走った。

(な、何言ってんの私は?!)

今の自分の行動が、私自身も理解出来なかった。

「べ、別に変な意味はないからな!もう時間も深夜回ってるし…」

私は、何を言いたいのだ?!

「だから…!その…」

言葉が詰まる。

そんな私を見たアレスは、お腹を抱えて笑い始めた。

「な、何故笑う?!」

私は、アレスから手を離す。

「別に帰るなら帰ってもらっても構わないぞ!」

心配して損したではないか…。

…ん?

何で心配をしているんだ?

「いやごめん、お前の行動が面白くて」

「はぁ?」

こ、こいつ…!

「分かったよ。お前がそこまで言うなら、泊まっていってやる」

「うわぁ?!」

突然アレスが私を抱き上げる。

「な、何をする!」

「お姫様を運ぶだけだよ」

「降ろせ!私は姫ではない!!」

「暴れるなよ」

こいつは、私をからかって遊んでいるのか?!