ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

アレスは、何故か嬉しそうに眺めていた。

「眺められても困るんだけど…」

「照れるなよ」

「照れてない!」

結局アレスが作ってくれたスープは、残さず食べてしまった。

「あれだけあったのに、その体でよく食べるな」

「食が止まらなかったのだ。こんなことは、初めてだけど」

「そうか…」

アレスは、再び私の額に手を当てる。

「さっきよりは引いたかな?」

「だいぶな、アレスのおかげだ」

「俺のおかげ?俺は別に何もしてないけど」

「いや、十分いろんなことをしてくれた。私をここに運んできたのもお前だろ?」

「まぁ、そうだけど」

ここまで素直に言葉が出てくる自分に、私は内心驚いていた。

でも、伝えずにはいられない。

「私は、お前がいなかったらどうなっていたか分からない。だから、お前が居てくれて良かったよ」

私は、アレスに微笑む。

アレスは、照れてるのか頬を赤くした。

「ありがとう、アレス」

精一杯の感謝を伝えたい。

私は、何であんなにムキになって居たのだろうか?

今思えば、それが馬鹿馬鹿しく感じる。

こいつの前では、出来るだけ素直でいよう。

「上司が助手を看病することは当たり前のことだ。だけどソフィア…」

アレスは、私を引き寄せると私を抱きしめる。

「なっ?!」

恥ずかしい気持ちが込み上げてきて、私は離れようとする。

「な、何をするんだお前は!」

「いいから、聞けよ」

アレスの真剣な声に、私は動きを止める。