ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

俺は思わず叫ぶ。

「……分かったわよ」

彼女は、目を瞑る。

ソフィアの体は、力が抜けたように倒れる。

「ソフィア!」

ソフィアの体を抱き起こすが、さっきよりも熱が上がっている感じがした。

「熱が上がってる…」

俺は、医療魔法をかけようとする。

「無理よ」

「え?」

テトは、上から俺達を見下ろす。

「魔人族には、医療魔法は効かないわよ」

「そ、そんなわけないだろ!だって、眠り粉(スリープ)の魔法効いたんだぞ」

「それは、魔人の彼女が眠らせたのよ。貴方の魔法じゃないわよ」

そんなことを言うテトだけど、一応熱を下げる魔法をかけている。

しかし―――。

熱が下がっているようには見えなかった。

「そんな……」

「彼女の怪我しているところ見てみてよ」

テトに言われ、俺はソフィアの傷を見る。

「傷がない?」

昨日あれだけの大怪我を負っていたのに、体には傷跡一つなかった。

「魔人族は、傷を治す時熱が出るのよ。あと、魔人化した代償として熱が出る。魔法を使っても出る」

「それじゃぁ、ソフィアの体が熱に耐えられないだろ!」

俺は、急いでソフィアをベッドへと運ぶ。

ソフィアは、苦しそうに息を吐いていた。

「どうしたら熱下がる?」

「魔人族は、自然治癒が一番なのよ、だから方法なんてないわよ」

「そんな……」

俺は、ソフィアの手を握る。