ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

アレスは、ペンと紙を私に差し出す。

「ほら、ここに名前書くだけでいいから」

「わ、分かってるさ!」

アレスからペンを奪い、私は名前を書く。

「よし、これでいいな」

アレスは、紙に魔力を込めると、ある物へと変化させた。

「ほら、これつけてろ」

「これは?」

渡されたのは、バッチみたいな物だった。

「魔法探偵の助手の証な、それを付けてれば、俺がいなくてもある程度のところは入れるはずだ。禁断の図書室とか、魔法協会が管理している以外のところとかな」

「これを付けていればいいのか?」

アレスは、頷く。

「さて、そろそろ寝てろ」

「いや寝れない!勉強せねば」

「いい加減にしろ!少しは自分の体をいたわれよ」

アレスは、私に布団を被せる。

「な、何をする!」

「お前が寝るまで見張っててやる」

「な、何でそこまでお前に言われないといけない!」

「だって―――」

アレスは、さっきの契約書を見せる。

「そ、それさっき!」

「あぁ、これはコピーな。あとここ」

アレスが指さすところを、私は読んでみる。

「契約書その十、上司の言う事は絶対に守るべし……」

私の中で怒りが湧き上がる。

「お前…!こんなこと一言も言ってなかっただろ!」

「読まないお前が悪い」

アレスの顔は、狡猾を浮かべていた。

「くっ…」

迂闊だった……。

まさか、こいつの良いように契約を交わされた…!

「てことで、早く寝ろ」

「……ふざけるなぁ!」

とアレスに殴りかかろうとしたが、めまいが私に襲う。

「…あ、……あれ?」

そこで私の意識は途絶えてしまった。