ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

さすが、医療魔法が得意なだけある。

「ロゼは、体の中に戻すことは出来る。だから、一刻も早くロゼを回収しないといけないんだ」

アレスは、拳に力を込めた。

「お前は、教団に何の恨みを持っているんだ?」

「恨み?」

「テトから少し聞いた。お前は、教団に恨みがあると」

アレスは、テトを見る。

テトは、何もないように寝ていた。

「恨みっていうわけじゃない、俺の家と教団は、昔から因縁があってさ」

「因縁?そんなに昔からお前の家は教団を追いかけているのか?」

「まぁそうだな。俺の祖父様の前の代から追いかけている」

「そうなのか…」

それは今も続いてきて、アレスに引き継がれている。

「どんな因縁なのか、俺も詳しくはしらない。でも、やっぱロゼは関わってた」

「そうか…」

「後は祖父様が成し遂げられなかった。だから俺が引き継いだ。祖父様には、結構世話になったからさ」

アレスは、懐かしむように窓の外を見る。

「魔法探偵としてのあり方、技術や洞察力、全て祖父様から教わった。だけど、祖父様はロゼを抜かれて死んだ」

アレスは、目を細める。

「因縁、引き継ぎ、恩返し、色々な気持ちはある。だけど、俺の中ではそれ以上にあいつらを捕まえないといけない理由がある」

アレスの言葉からして、それはとても重い物のように感じられた。

「どんな理由なんだ?」

これは、私が聞いていい物なのか分からなかった。

でも、聞かないといけないと思った。