ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

【ソフィア】

「きゃぁぁ!」

私は、勢いよく壁に叩きつけられた。

「ぐっ…」

体に激痛が走る。

私は、肩を抑えながらゆっくりと立ち上がる。

「ソフィア!」

遠くからテトの叫び声が聞こえる。

何故こんなことになったのか、数時間前に遡る―――。

私は、部屋にいる時変な魔力を感じていた。

その魔力に疑問を抱き、外に出た瞬間爆発が起こった。

「な、なんだ?!」

すると、目の前にワイバーンが現れたのだ。

「な、何でこんな所にワイバーンが……」

「どうしたのソフィア?」

テトが眠たそうに傍に来る。

ワイバーンは、私の存在に気づくと、口を大きく開く。

「テト!」

「うわぁ!」

私は、テトを抱き上げ飛行魔法を使って宙を浮く。

それと同時に、私のいた場所にワイバーンが咆哮(ブレス)を吐く。

「な、何あれ!」

「こっちが聞きたいよ!」

私は、ワイバーンを睨みつける。

咆哮がはかれた私の部屋には、防御魔法の盾(シールド)をかけてあったから、部屋は燃えずに済んでいた。

私は、ワイバーンから距離を取って降りる。

咆哮の怒号に気づいた他の生徒達が、外へと出てくる。

「出てくるな!逃げろ!」

私の声に何を言ってるのかと思った生徒達は、目の前にいるワイバーンを見て悲鳴を上げる。

「きゃぁぁ!」

「うわぁぁ!何でワイバーンが!」

生徒達の声に気づいたワイバーンは、こちらに目を向ける。

「早く逃げろ!!」

私は、ワイバーンに手をかざす。

「氷の槍(アイスランス)!!」

幾つもの氷の槍が、ワイバーンの体を貫く。

ワイバーンは、唸り声を出す。

しかし、全く効いているというわけではなかった。