ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

先の見えたことに、俺は苦笑した。

「じ、時間があったらな」

とりあえず、そう言う。

「楽しみにしてるわ」

母様は、可愛く笑う。

母様は、十九の時に俺を産んだ。

当然母様の周りの者は猛反対した。

しかし、母様はその反対を押し切って、俺を産んだ。

母様と俺は、屋敷を追い出された。

しかし、母様は文句一つ言わなかった。

だけど、俺の親父は母様を裏切った。

「母様、そろそろ行くよ」

「うん、気をつけて帰るのよ」

俺は、母様を守らないといけない。

必ずロゼは取り戻す。

俺は、あんな親父とは違う。

病院を出た俺は、学校の方へと歩く。

「はぁ…」

俺は、ポケットに手を入れさっき書いた報告書を取り出そうとしたが。

「あれ…?」

ポケットの中にあるはずの報告書がなかった。

「な、何でないんだ?!」

もう片方のポケットに手を入れる。

「ない…!」

何処かで落としたのか?

いや、落としたら気づくはずだ!