ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

「では次に、皆さんにはあることを知ってもらいます」

「あること?」

珍しく先生の表情が真剣なものへと変わった。

「皆さんの体の中にある魔法のコア、“ロゼ"についてです」

「ロゼ?」

「なにそれ?」

ロゼか…、魔法書で読んであるから大抵のことは知っているが、それを今私たちに話すのはなぜだ?

今は、この世界の歴史についての話のはずだったが?

「ロゼというのは、魔力を宿したコアのことです。私たち魔法使いは、無限に魔法を使えるというわけではありません。そのコアの大きさによってそれぞれ扱える魔法も違ってきます」

だけど、そのロゼがどのくらい大きいのかは自分自身は知らない。

(もちろん知っていれば、自分がどこまで高度な魔法を使えるのか分かるしな)

「そして、それを抜かれたものは死ぬという…」

「えっ?」

隣を見ると、アレスはペンを置いて先生を睨みつけていた。

「アレス…?」

私の体に鳥肌がたった。

そして、アレスの目の前にある紙に目を向けた時、目に入ってきた言葉でさらに驚く。

(黒の魔法教団?ロゼの収穫?)

なんの話かわからなかった。