ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

【???】

真っ暗な部屋のなか靴音だけが響く。

「見つけたのか?」

「あぁ」

僕は、フードの中で頷いた。

「見つけたよ、ちゃんとね」

僕は、フードをとる。

部屋の中に吹き込む髪が、翡翠色の髪をなびかせる。

「なら、直ぐに迎えにいくか?」

「まだいいよ、その時じゃない」

僕は、男の横を通り過ぎる。

「まだ、しばらく遊ばせておけばいいよ。時間はたっぷりある」

僕は、バルコニーへと出る。

月の光が、翡翠色の髪と深緑の瞳を照らす。

「それにしても、あのサルワって奴は使えなかったなぁ。せっかくヴェルト・マギーアの魔法も教えたのに」

ああいう人間は、こちら側に引き込みやすい。

人間なんて、欲望さえ膨らませれば直ぐに闇に落ちる。

「ただいま戻りました」

「お帰りユーリ、あいつの様子はどうだった?」

ユーリには、学校に忍び込んである奴を見張ってもらっている。

「特に変わったところは、見られません」

「ふーん、引き続き見張りよろしく」

「分かりました」

彼女には、教団が学校に入りやすくするために色々と動いてもらったが、そろそろ用済みかな。

僕は、月を見上げて微笑む。

「準備は少しづつ始まっている。それまで、今の生活を楽しんでおくといいよ、ソフィア姉さん」

僕の深緑の瞳が、赤く輝いた。


ヴェルト・マギーア
ソフィアと黒の魔法魔法教団

END