ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

「それで、お前は私を助けたのか?」

「それだけじゃねぇよ」

「じゃあ、他には?」

アレスは、私に顔を近づける。

「聞きたいか、その答」

「え……」

頬が熱くなる。

それに、心臓の鼓動も早くなる。

「聞きたいなら、今すぐ教えるけど」

アレスの吐息が私の頬にかかる。

私は、それがくすぐったかった。

「き、聞きたい……」

私は、アレスを見つめてそう答えた。

「大切な人だからだよ」

「え……」

大切な人…?

「そう、大切な人」

アレスは、子供みたいに笑った。

「大切な人…か」

私は、少し嬉しくなった。

そして、私も気づいた。

私にとってアレスも、大切な人なんだと。

「ソフィア」

「なんだ?」

アレスは、私との距離を縮めた。

外の風が吹き込み、真っ白なカーテンが私たちの姿を隠した。