ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

「あんなに思いっきり泣いたのは……、いつ以来だろうか…」

私は、安心したんだ。

アレスが生きていて良かったと。

アレスを失わずに済んで良かったと…。

「アレスは、何で私のためにあんなに必死になってくれたんだ?」

「そんなの、約束しただろ?」

「え……」

すると、病院の扉にアレスがよりかかっていた。

「アレス…。来ていたなら声くらいかけろ」

「声かけづらかったんだよ」

アレスは、近くにある椅子に座る。

「体の方は大丈夫か?」

「まぁな、だいぶ良くなった」

私は、頬をほめてアレスに聞いてみた。

「アレスは、何故あんな無茶をしたんだ?」

「ん?」

アレスは、首を傾げたがニヤリと笑った。

「さっきも言ったが、約束しただろ?」

「約束?」

私は、アレスと何か約束しただろうか?

「なんだよ忘れたのか?」

「ご、ごめん…」

アレスは、私の手を握る。

それが何だか心地よくて、私は微笑む。

「じゃあ、もう一度言ってやる」

「あぁ、頼む」

「助手が変わったら、上司が助ける。上司が変わったら、助手が助ける。お前が言ったんだろ?」

そういえば、そんなことを言った気がする。