ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

【ソフィア】

体が熱い…。

意識がもうろうとしている。

私は、重たいまぶたを開く。

さっきサルワに入れられた薬の影響のせいで、身体の自由が利かない。

だが、状況は把握することは出来た。

私の体は、今吊るされている状態だ。

両手両足共に鎖の付いた枷で掴まれている。

天井からはステンドグラスの光が差し込み、下には教団の連中たちが集まっていた。

どうやら、教会のようだ。

(これから、ヴェルト・マギーアの儀式が始まるのか…)

今の私では抵抗など出来ない。

魔法を使おうにも、体が言うことを聞かない。

「くそっ…」

「やっと目を覚ましてくれたかね」

サルワは、空中魔法を使って私の所まで上がって来る。

「私を…どうするつもりだ……」

「これから儀式を始めるのさ。だが――」

ピィーー。

外から笛の鳴る音が聞こえた。

「どうやら、邪魔者がここへ向かってきているようだ」

「邪魔者…?」

もしかして、アレスとテトか?!

「魔法探偵以外にもあと二人、氷結の魔道士と業火の魔道士か」

その魔道士の名前にはもちろん聞き覚えがあった。

氷結の魔道士フィアと、業火の魔道士ロキだ。

だが、私はその二人とは面識はない。

なら、何故こんなところに…?

「儀式を早めた方が良さそうだ」

サルワは、床へ降り立つと数十人の団員に命令をする。

「時間を稼げ、ヴェルト・マギーアが完成するまで」

団員達は頷くと、ぞろぞろと教会から出ていく。

そして、教会の中に残ったのは私とサルワとサルワの側近であろう三人の団員だけだ。