ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

「いってぇ!」

ロキは、額を抑えて座り込む。

「貴方と一緒にしないでくれる…?」

こ、こぇぇ…。

やっぱ女って怒らせると怖いよなぁ。

「だからって石は駄目だろ!」

「貴方なんかに無駄な魔力使いたくないし、貴方には道端の石ころで充分よ」

「て、てめぇ…!」

俺は、深い溜め息を付く。

こんなんで、本当に大丈夫だろうかと内心心配になってきた。

「馬鹿はほっといて行くぞ」

「そうね」

ムニンを先頭に、俺達は忘却の山へと足を踏み入れた。

忘却の山は、深い霧で覆われていて、目の前の景色は何も見えなかった。

これなら、隠れるのにもってこいの場所だ。

「どうムニン?何か臭う?」

「いや、全く何も臭わない。草や川の臭いすらしない」

流石忘却の山だな。

臭いまでも消してしまうのか。

「でも、忘却の山って昔からこんな感じだったのかしら?」

「どういうことだフィア?」

「だって、普通なら山に入ったところで記憶なんて消えない」

「それは、忘却の山だからこそ消えるもんだろ」

フィアは、ロキの脇腹に鞘をぶち込む。

「ぐはっ!」

「少しあんたは黙ってて」

なんか、いつにも増してロキの扱いが酷い気がする…。

「これは、私の考えなんだけどね、もしかしてここは魔法が働いて居るんじゃないのかな?」

「魔法?!」

そうか魔法かっ!

考えても見なかった。

もし本当に魔法が働いているなら、その根源が何処かにあるはずだ。

「ま、その調査は後程ってところかしら、ムニンさんが居れば、いつでも忘却の山に入れるし」

「おい、俺はそんなめんどくさい事に付き合う気はないぞ」

「あら、何を言うのムニン?これで忘却の山のナゾが解ければ、貴方の株も上がるのよ」

「気が向いたらついて行ってやる」

なんて単純なんだ!