ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

【アレス】

「ソフィア?!」

俺は、走る足を止め忘却の山を見上げた。

「どうしたのアレス?」

「いや…」

今ソフィアの声が聞こえた気がした。

(嫌な予感がする)

もっと急いだ方がいいかもしれない。

「おい何をしている!忘却の山の入口はこっちだぞ!」

「あ、あぁ!」

ムニンが先頭を走ってくれる。

なんだかんだで手伝ってくれるから、意外といい奴なのかもしれない。

と思ったのは、ムニンには内緒だ。

「ここが忘却の山の入口だ」

「ありがとうムニン」

「それで、フィアって子も来たみたいだけど」

テトが指をさす先に、俺達は目を向けた。

テトの言う通りに、フィアがこちらに向かって歩いてきていた。

月の光が青い髪を照らし、優雅に歩くその姿からは、とても魔道士だとは思えない。

腰には愛剣をぶらさげていた。

それに、何故か肩には大きな袋を担いでいた。

「やぁフィア」

「こんばんはアレス」

「夜遅くにごめんな」

「それは、今言うよりさっき言ってよ」

フィアは、肩に担いでいた大きな袋を下ろす。

「お、おい。それは何が入っているんだ?」

「これ?これは――」

袋はもぞもぞと動いていて、中からはうめき声が聞こえた。

「何かの動物かしら?」

テトが興味ありげにその袋に近づく。

「あれ?アレス、貴方使い魔なんていたっけ?」

「これは、ソフィアの使い魔だ」

「ソフィア?」

フィアは、とりあえず袋の口を開ける。

そして、そこからはある男が顔を出した。

「お、お前は!ロキじゃないか!」

「うっへぇ…、息苦しぃ」

「暇そうだったから、連れてきたの」

フィアは、強引に袋からロキを出す。

「ロキってたしか…」

「業火の魔道士だ」

ムニンが手帳を取り出していう。

その手帳には、一体何が書かれているんだ。