ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

忘却の山

「じゃあ仮契約するぞ」

ムニンは、小さな手を俺に差し出す。

「お前の指出せ」

「あ、あぁ…」

ムニンに言われるがまま、俺は人差し指を差し出す。

ムニンの指と俺の指が触れた時、俺の体が光始めた。

「な、なんだこれ？｣

光は体から弾け飛ぶと、俺の鎖骨近くにあざを作った。

あざの形は三日月の形で、三日月の中には星が浮かんでいた。

「それが仮契約の印だ」

「こ、これがそうなのか？！」

「そうよ。ソフィアの体にもあるわよ。でも、アレスとは形違うけど」

「んで、仮契約をしてみた気分はどうだ？」

どうだと聞かれても返答に困る。

別にどこか変わった所もないし、力が強くなったわけではない。

変わったと言えば、あざが付いただけってことだ。

「これで、ムニンの力を使えるのか？」

「お前が使えるわけないだろ、お前が俺に命令すれば、俺がお前の命令に従って力を使うんだよ」

「な、なるほど」

でも、ソフィアがテトに命令してるところは見たことがない。

てゆか、そもそもテトは何の使い魔なんだ？

「それより、忘却の山これから行くのか？」

「もちろん！行くさ！」

「行くのはいいが、お前一人で行く気か？」

「あ…」

そうだ…。

よくよく考えたら俺一人だった。

さっきまではソフィアもいたから、二人で何とかなるとか思ったけど。

（俺…今一人だ！）

俺は、頭を抱えて唸り始める。

「馬鹿だなあいつ…」

「同じ意見よ」

そこで、俺はある事を思い出した。

「そうだ！あいつがいた！」

俺は、持ってきていたリュックからパソコンを取り出す。