ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

「なるほど、そのソフィアがヴェルト・マギーアを完成させる鍵で、ソフィアを取り戻さないといけないと」

ムニンは、頷きながら聞いた。

「そうなんだ!それで、黒の魔法教団のアジトが、忘却の山にあるんだ!」

「それで、俺の力が必要だと」

「そう!」

俺は、両手と両足を床につけて頭を深く下げる。

「頼むムニン!一刻を争うんだ!俺たちに、力を貸してくれ!」

「……」

ムニンは、じっと俺を見てくる。

今の俺に出来ることは、頭を下げることだけだった。

これでムニンに断られたら、俺はどうすればいい…。

「アレスにここまでさせたんだから、もちろん力貸してくれるわよね?」

「チッ…。分かったよ!」

「ほ、ホントか!」

「あぁ、ただし仮契約な」

「か、仮契約?」

なんで仮契約なんだ?

てか、仮契約なんてあるんだ。

「当たり前だろ。何で俺がお前みたいな“混じったやつ”と契約しなくちゃいけないんだよ」

「混じったやつ?」

「いいじゃない仮契約でも、ムニンが本契約をするかどうかは、今後の貴方の行動次第よ」

「あ、あぁ」

まぁ、仮契約でもいいか。

これで、ソフィアを助けに行けるのなら。

だけど、俺は一つ気になっていた。

ムニンが言った「混じったやつ」。

それがどんな意味だったのか、俺は知る由もなかった。