ヴェルト・マギーア ソフィアと黒の魔法教団

あいつは、一人ぼっちだ。

そう生きてきたせいもあるかもしれない。

だけど、俺はあいつの傍にいたい。

大切な人だから。

眩い光が消えたあと、ボワンっと煙が上がった。

「たくっ、誰だよ俺を呼んだのは!」

「へ…?」

そこには、黒い獣が座っていて、黄緑色の瞳がギリッとこちらを睨みつけていた。

「こんばんはムニン、相変わらず口調が悪いわね」

テトは、ムニンの隣に座る。

「あんたが俺を呼んだのか?」

「そうよ。でも、呼ぶように彼に言い聞かせただけ」

ムニンは、俺を見上げる。

(な、なんか想像していたのと違った…)

大きさはテトくらいの大きさだ。

それに、この見た目は…。

「狐か?」

「狐じゃねーよ!」

やっぱり、狐じゃないよな。

狐はもっとモフモフだし、ムニンの毛は硬そうだ。

「失礼なやつだ!俺は、狼だ!」

「え…、狼?!」

その見た目で狼なのか?!

いや、でも言われてみれば狼か…。

「そんなことより、アレス用件をムニンに言いなさい」

「わ、分かった」

俺はしゃがみこみ、ムニンに頭を下げる。

「頼むムニン、俺に力を貸してくれ!」

「嫌だね」

ムニンは、即答でそう俺に告げた。

「な、何でだよ!」

「何で理由もなくお前に力を貸さないといけないんだ」

「うっ!」

そうだった、ムニンにはまだ理由を説明してなかった。

「実は――」

俺は、これまでの事を手短にムニンに説明した。