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「鮎川さん!お昼食べに行こ!」

「分かってるって!」

4時間目が終わり、お昼の時間。

ちなみに私の中学は給食ではなくお弁当だ。

昔ある生徒の親からの熱い要望があったらしい。

まあ、生徒には好評らしいけど。

「鮎川さんってて何時も何処でお昼食べてたの?」

「・・・多目的室。」

「じゃあそこ行こっか。案内して?」

「いいけど・・・。」

正直言って、あまり多目的室には入って欲しくなかった。

そこだけが、私の学校での唯一の居場所のような気がしていたから。

そこに人を連れて来るということは、私の居場所ではなくなることを意味するから。

だから、この時は、いつもよりもゆっくり歩いていた気がした。

「・・・ここ。」

多目的室に着くと同時に、及川君がドアを開けた。

「おおー!」

・・・馬鹿なの?

というか、子供っぽいの?

最初のイメージと違いすぎてついていけないんだけど。

「ここ、綺麗だね。」

・・・景色の話?

でもここ2階だから民家と空しか見えてないし。

空だって曇りだし。

「何が綺麗なの?」

さっぱり分からないんだけど。

「だから、ここ。この教室。」