私に意味を。

「にしても、意外だな。まさか及川君に羨ましがられてたなんて。」

「俺だって。鮎川さんに羨ましいがられてた、なんて驚いたよ。」

二人で顔を見合わせて、クスッと笑う。

きっと、人間はこういうものなんだな。

なれないと分かっていても、羨ましがらずにはいられない。

「あ、」

今思い出した。

「ん?どうしたの?」

「私、今日誕生日だ。」

今日の朝、お母さんがおめでとうって私に言ったし。

お母さんも“お誕生日おめでとう”って言ってくれればいいのに。

何のことかわからなかったし。

とりあえず、ありがとうって言っておいたけど。

「・・・え、本当?」

「うん。」

いや、本当、私って鈍感かも。

今日が7月17日だったとは。

「ええ!嘘!あ、なんか欲しいものある??」

「え?なんで?」

「いや、誕生日だったら普通プレゼントとかいるでしょ?」

「あ、そっか。」

でもなー。

急に欲しいものって言われても・・・。

特にないし。

欲しいもの・・・。

「友達・・・?」

かな。

・・・は?

え?

ちょっと、え?

私今、友達って言っちゃった?!