私に意味を。

〜鮎川 夕日side〜

「鮎川さんは、そのままでいいと思うよ。」

それは、ずっと言ってもらいたかった言葉。

私は私。

なんて言ってみても、やっぱり自信が無かった。

私は、変わるべきだと思ってた。

でも、そう簡単には変われなくて。

変われない自分が嫌で。

だから、誰かに、言ってもらいたかった。

本音を言うのは苦手だけれど。

「私ね、昔から不器用なの。」

話そうか。

「何をやってもうまくいかなくて、人付き合いが下手くそで。」

だから、本当は、心の何処かで思っていた。

及川君が羨ましいって。

「及川君は、私とはまるで逆で。」

私にないものばかり、たくさん持っていて。

「本当は、すごく、羨ましかった。」

何事も器用にそつなくこなす及川君が。

転校して来たばかりなのに、他の人と仲良くなれる及川君が。

本当は、羨ましかった。

だから。

「及川君は、そのままでいいと思うよ。」

変わらなくていい。

そのままのあなたは、とても魅力的だから。

それに。

「あはは。ありがとう、鮎川さん。」

この笑顔は、作り物じゃないよね。

絶対。