私に意味を。

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午後の授業なんて、あっという間で。

今はもう、放課後だ。

「鮎川さん、多目的室に行こう?」

「うん。」

そのまま二人で、多目的室に向かう。

会話なんてない。

ただ、歩くだけ。

なんだか、少し気まずくて。

でも、それを悟られたくなくて。

何も感じていないように、前だけ向いて、歩いた。

「・・・。」

「・・・。」

無言で教室のドアを開けた。

いつもは気にならないドアの動く音が、やけに響く。

「あのさ、鮎川さん。」

「ん?」

「出会って2日でこんな話するのはおかしいと思うんだ。でも、鮎川さんには知ってもらいたくて。後からだと、遅い気がして。だから・・・。」

“だから”

その続きを私は無言で待つ。

きっと、今から話すはずなんだ。

その続きを。

「だから俺さ、話すよ。」

「うん。分かった。」

さて、聞きましょうか。

及川君の“こんな話”を。