私に意味を。

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「鮎川さん、お昼食べに行こう。」

「うん。」

4時間目の授業が終わると同時に、及川君が話しかけてきた。

よっぽどお腹空いてるのかな?

「今日も多目的室でいい?」

「・・・うん。」

なんか、主導権を握られてる気がする。

まあ、いいんだけど。

「いいね、多目的室。教室から近い割に静かだし。ほら、もうついたよ。」

クスッと、楽しそうに笑う及川君は、なんだか子供っぽかった。

「穴場でしょ?」

私も、つられて笑う。

自然に笑えるのって、久しぶり。

何て考えながら、昨日と同じ席に着く。

「あ、そういえば。」

「ん?」

「俺、考えたんだ。朝の質問の答え。」

・・・朝の質問?

・・・なんだっけ?

・・・。

・・・。

・・・あ!!

私が『好きって、どんな感情ですか?』って言っちゃったやつ?!

アレ、忘れてって言ったのに・・・。

「でも、うまく答えでなくって・・・。だからさ、保留にしといて欲しい。」

いや、そんなわざわざ頼むことじゃないのに!

「全然大丈夫。私が変なこと聞いちゃったんだから。」

にしても、あんな質問を真面目に考えてくれるなんて・・・。

本当、不思議な人。

「でも代わりに、俺が剣道好きな理由、話そうと思って。・・・どう、かな?」

まあ、特別聞きたいわけじゃ無いけど、断る理由も無いし。

「うん。聞きたい。」

聞いてみよう。