「少し痛いけど、ばい菌が入っちゃったらもっと痛くなっちゃうから我慢してね」




そう女の子に言い聞かせ、傷口に濡らした手ぬぐいを当てて縛る。




「お家に帰ったら、ヨモギをはってもらいなよ」





「うん!お兄ちゃん、ありがとう!」




(満面の笑みで、子どもに礼を言われるとなんだか嬉しいな。)





「いいよ。その傷じゃぁ歩けないでしょ?
お兄ちゃんがおんぶしてお家に連れてってあげる」




「本当!?やったぁ!わたち菊って言うの。
お家は....あっ!かぁ様だ」




菊ちゃんの指差す方を見ると、若い女性が駆け寄ってきた。そして、頭を下げると
菊ちゃんの手を引いて民家の方へ歩いて行った。



「ありがとう!またねっ」




「バイバイ、転けないようにねっ」




僕は菊ちゃんに手を振り返すと、
道を折り返して土方さんを探すことにした。