私は覚悟を決めた。

「その時・・・ね、体を持ち上げられたり、手錠をはめられたり・・・、足をおさえられたりしたの」

お姉ちゃんがそれを聞いただけで、
「そ、そんなことを・・・」
と涙声に変わった。

「相手の人・・・、香水つけてたの・・・。それが、香ったの。それは私がサムイ島でかいだことのある香りだった。それを、さっき思い出したんです。ウアンは違う。香水はつけてなかった」

ウアンの男くさい匂いを思い出して、しらずに顔をしかめてしまう。

「香水・・・」

ソムサックの視線がすぐに右に向く。

そう、あの時香ったんだ。


なんで忘れていたんだろう・・・。