いそいで隣の部屋に行くと、ドアをノックした。

「あら、実羽。部屋にいたの? ああ、暑い。クーラー早く効かないかな」

「じゃ、ちょっと私の部屋来て」

お姉ちゃんに着替えもさせずに自分の部屋に連れてゆくと、私は今日のタイ料理屋であった出来事を話した。

どうしても、早く誰かに聞いてもらいたかった。


お姉ちゃんは、表情を曇らせてそれを聞いてくれたけど、最後まで聞き終わると、
「そう」
と言ったまま黙ってしまう。

「ほんと、ヤバい感じだったんだよ」

「うん」

その表情を見て、私は気づいた。